「自然エネルギー利用総合セミナー」受講報告


2001.10.26〜27、足利工業大学総合研究センターにおいて標記のセミナーが開催された(主催/日本風力エネルギー学会、日本太陽エネルギ学会、クリーンエネルギーフォーラム)。当会より根本が参加、受講した。なお、「つくば風車」については本会の世話人、足利工大、牛山教授により1999年学術発表された。

 第1セッション  足利工業大学「風と光の広場」について  牛山 泉(足利工大)
           
           街づくりにおける風力発電利用        長谷川正美(都市基盤整備公団)
           風といえどもその影響を受けにくい立地に団地形成が進められた。都市におけ
           る風力発電導入は、この矛盾する条件をふまえ、発電利益というよりは環境と
           の共生を快適性向上の中で生活文化のひとつとして検討が進められている。

           環境共生住宅と風力発電           志村正幸(前田建設工業)
           ビルトイン型のソーラーパネル、風力ミルの導入事例紹介。海上でのフロート大
           型風力発電所構想

           小型風力発電系統連携システムについて 佐野博章(東京電力)
           電力買取法の改正をにらんだ簡易インバーターを使ったミニミニ風力発電所の
           構想


 第2セッション  環境共生型風車のデザインコンセプト    荒川忠一(東京大学)
           国内での風車台数は最終的に20万機に達する目標から、風車のデザインが環
           境との同化が求められてくる。地域性、風土性を加味したデザインのあり方を
           「バナキラー風車」と命名した。お台場沖への大型風力発電所計画も発表

           小型木材ガス化コジェネレーションシステムの開発  大場龍夫(ヴァイアテック)
           木質系バイオマスのガス化発電装置の開発  根本泰行(足利工大)
           木材廃棄物のペレット化、チップ化によるガス発生装置の開発、及び発生ガスを燃
           料とした発電エンジンの出力実験データの発表。


 第3セッション  木質ペレットを燃料とするエンジンの開発  小島博(前田先端技術)
           農場用バイオガスプラントとその普及方策  前田典秀(CEF)
           9000万トンといわれる、畜産廃棄物を中心にしたガス化プラントの普及の取組み。
           クリーンエネルギージャパン事務局(年内にNPO化)

           石炭バイオブリケットのガス化と自動車燃料  西岡正輝(東京大学)

 第4セッション  グリーン料金制度で太陽光発電普及を   都築建(エコテック)
           雪深い米沢で太陽光発電を展開   鈴木弘(JSES)
           農業用水から電気を得る   沖武弘(イームル工業)
            土地改良費の支払いに行き詰まる組合の代位弁済として農閑期を中心とした用水の
            落差を利用した小型水力発電所の報告。

           簡易型小水力発電の開発   本橋元(鶴岡高専)
            ネパール山岳部からの要請により開発。人力での移動やローメンテなどの条件のもと
            開発。タービンの効率条件実験報告。洗濯機のモーター利用など、ローコスト仕様。

            
 第5セッション  小水力発電の現状と問題点   千矢博道(埼玉技術専)
           自然と共生する小水力発電システム   大和昌一(富士電機)
            浄水場の導水部落差を利用した小規模発電の提案

 第6セッション  太陽エネルギーの光・熱複合利用システム   鴨志田隼司(芝浦工大)
           太陽熱利用の現状と展望   中津川昭一(ソーラ振興協)
           太陽熱と雪冷熱の利活用   伊藤親臣(新潟・安塚町)
           アジアクリーンエネルギー学術調査   沖充人(足利工大)

総括報告   風力発電の目標が30万キロから300万キロに引き上げられるなど自然エネルギーへの関心
         と研究は活気に満ちていた。大規模な売電目的のものから、自家発電レベルのものまで、大
         変幅広い発表があり、自分達の身の回りのエネルギー源に関心が広がった。電力買取法の
         改正のあかつきにはミニミニ発電所が各所に出きるのでは。また、農産廃棄物からガスを得る
         バイオマスは改めて注目した。かの生ゴミや糞尿も有力な資源となれば単に堆肥化とは又
         違った循環型社会のエースに踊り出る可能性をもつ。足利工大わきに整備された「風と光の広
         場」は様々な風車のスタイルの現物紹介や世界の風車のパネル紹介、さらにはソーラークッキ
         ング(小生もこれで炊いたごはんを賞味したが快晴であれば2時間で炊けるとのこと。ダンボー
         ルで作るこれらの装置は作るのも簡単で、環境教育の格好のテーマといえる)も楽しめるミニ博
         物館が併設されており、一見の価値がある。つくば風車の写真もここに寄贈させていただくこと
         となった。